上場企業営業職のリアルな一日から考える、就活での効果的な自己PR

「大学時代に頑張ったことがないから、自己PRで書くことがない…」
「就活マニュアルサイトを見てもバイトのことを生かした自己PRばかりで参考にならない…」

と悩んでいませんか?

今回、あなたに言いたいのは、

「企業はあなたの学生時代の実績なんて全く求めてない」

ということです。

つまり裏を返せば、

「大学時代に頑張ったことがなくても、就活で上場企業の内定は取れる」

ということです。

1.営業職の仕事のリアル

就活中のあなたにまずお伝えしたいのは、

「社会人は常に誰かに怒られている」

ということです。

冗談でも何でもなく、マジです。苦笑

普段の業務では課長から、

「何で頼んでたあの資料、まだ作ってないんだよ!」
「何で週報まだ出してないんだよ!早く出せよ!」
「何で仕事進めてるんだよ!ちゃんと報告しろよ!」

と怒られ、

販売会議では部長から、

「何でこのユーザー、今月対予算こんなにマイナスなんだよ!(何で目標に届いてないんだよ、という意味)」

と怒られ、

工場からは、

「何で営業、見込み出してないんだよ!もう作れる釜ないから!」

と怒られ、

経理からは、

「今月営業の方、交際費使いすぎですよ!」

と怒られ、

ユーザーからは、

「製品が納入できないってどういうことですか!」
「〇〇の成分を開示してくれないのは、御社だけですよ!」
「御社の製品は高すぎるよね!」

と怒られます。

私が勤めていた一部上場の化学メーカーを例ですが、だいたいどこの会社も営業職の一日は同じようなものでしょう。

学生であるあなたには、企業の法人営業職がどんな仕事をしているか、が分からないと思いますので、ざっくり説明します。

まず4月になると上期で達成するための目標を決めます。目標というのは、

「上期対予算数量〇〇トンUP」
「上期対予算売上〇〇円UP」

というやつですね。いわゆるノルマを決めます。

形式上は自分でノルマを決めることになっていますが、実際は上から押し付けられるものです。苦笑

就活の企業研究で、

中期経営計画

というのを目にしたことがあると思いますが、あの中期経営計画で決められた、

「2020年までに売上高〇〇円UP」

みたいな目標を、各営業所で分担するわけです。

ちなみに、会社の中期経営計画は、会社の「経営企画部」みたいなところが勝手に決めます。現場から上げる数字ではありません。苦笑

ぶっちゃけて言えば、経営企画部が勝手に決めたノルマを各営業所は押し付けられるわけです。

例えるなら、ジャイアンが、

「おい、このCD1万枚売ることに決めたから、今月は一人1000枚売ってこい!」

とのび太やスネ夫に言うようなものです。(例えがうまくないような気がする)

当然ジャイアン(経営企画部)が決めたノルマというのは、とてつもなく大きい数字ですから、それを押し付けられた営業所は、どう頑張っても達成できるような数字ではありません。

そうやって、押し付けられたノルマをもとに、営業活動をしていきます。

数量が伸びそうなユーザーをリストアップして訪問し、

「この商品を紹介した」
「購買の〇〇氏に会った」

という報告書を書いたり、

数量が伸びそうなユーザーと仲の良い商社へ行って、

「今度、あのユーザーに連れて行ってください」

とお願いして、同行訪問をお願いしたり、

新規ユーザーの開拓のために、サンプル依頼のあったユーザーへ製品の紹介をしに行ったり、既存ユーザーへの定期的な訪問で、数量が落ちないようにしたり、

といった感じです。そして、販売会議で

「今月いくらプラスだったのか?」
「今月いくらマイナスだったのか?」

を発表していくわけです。(実際は、ほとんどが言い訳を並べることになりますがw)

これが営業職のリアルです。

一言で言えば、押し付けられた目標に向かって、数字を上げるための策を考えて実行する、というものです。

そして、押し付けられた目標は、到底達成が難しい目標ですから、ヒラや課長は部長に、

「何で今期こんなにマイナスなんだ!!」

と怒られ、部長は役員会議で、

「何で今期こんなにマイナスなんだ!!」

と怒られているわけです。

つまり、営業職であるならば、ヒラ、課長、部長に関係なく、誰しもが、

「何で今期こんなにマイナスなんだ!!」

と誰かに怒られているわけです。

2.常に怒られている人が、あなたの自慢を聞きたいと思いますか?

さて、話を元に戻しますが、あなたは今、

「大学時代に頑張ったことがないから、自己PRで書くことがない…」
「就活マニュアルサイトを見てもバイトのことを生かした自己PRばかりで参考にならない…」

と悩んでいるわけですよね。

結論から言うと、

「企業はあなたの学生時代の実績なんて全く求めてない」

です。

だって、考えてみてください。

就活の二次面接以上では、必ず企業の営業職の人が面接官い入ると思いますが、

「何で今期こんなにマイナスなんだ!!」

と常に怒られている営業マンが、学生自己PRでよくある

「アルバイトで来店者数を1.3倍にした」
「学園祭の実行委員会でイベントを企画して〇〇人呼んだ」

というPRを聞いて、

「おお!この学生優秀だ!」
「この学生、面白いなあ!」

と思うと思いますか?

思いませんよ。苦笑

「ふーん、そうなんだ…」

で終わりです。

私が就活をしている時も、初めの時は、

「インターンで売上〇〇をUPさせた」
「サークルで〇〇を企画した」

みたいなことを自己PRしていましたが、まあウケは悪かったですね。苦笑

「へえ」

って言われて終わったことがほとんどでした。

でも、今考えてみれば、当たり前なんですよね。

「何で今期こんなにマイナスなんだ!!」

って常に怒られている営業職の社員にとって、学生の

「アルバイトで来店者数を1.3倍にした」
「学園祭の実行委員会でイベントを企画して〇〇人呼んだ」

というPRはイライラするものでしかないんですよね。

学生のPRを聞きながら、

「俺はこんなに営業やっても怒られてるのに、よくもまあ自信満々で言えるな…」

と内心思っています。

3.資格実績型自己PRではなく、人間性自己PR

先日、面白い本を読みました。

武野光(2016)『凡人内定完全マニュアル』ポプラ社

この本の中にこんなことが書いてありました。

自己PRには2種類あると思っていてください。

1.資格実績型自己PR
2.人間性自己PR

1はこれまで書いてきたように、資格や実績「自体」をアピールするものです。つまり、その人がどういう人間かはさして関係なく、残した成果だけで勝負をしようというものです。

武野光(2016)『凡人内定完全マニュアル』ポプラ社p.67

そして、続けて、

成果で勝負したら確実に負けるでしょうが!(中略)
資格実績型自己PRは「ガチ勢と同じ土俵でガチバトルする」ことになりやすいと思ってください。(中略)

一方、人間性自己PRは他の就活生たちと同じ土俵で勝負することはありません。

人間性自己PRとは、自分がどういう特長を持つ人間であるかを、日常の行動を具体例として人事や面接官に伝えるものです。

武野光(2016)『凡人内定完全マニュアル』ポプラ社p.67-68

と書かれています。

この本、めちゃくちゃ良い本でした。

企業で働いていた私から見ても、かなり的を得たことを言っています。

私も実際、就活をしていた時に一番ウケの良かった自己PRは、

「イベントの設備の解体のバイトで、職人に怒られまくって大変だったが、地道に仕事をしていたら職人に気に入られて、最終的に缶コーヒーをおごってもらった」

というエピソードでした。

PDCAもクソもない、何の変哲もないエピソードです。就活本によく書いてある、

「わかりやすく数字で表せ!」

という鉄則も完全にシカトした自己PRでした。

でも、このエピソードが一番効果抜群でした。

ある一部上場メーカーでは、その場で内定が出ました。

面接が終わって家に帰ろうとしていると、その企業の人事から電話があって、

「本日たまたま役員の者が同席していたのですが、ぜひあなたに入社して頂きたいと申していまして…」

と、内定が出ました。

私が就活をしていた時は、この本は出版されていませんでしたが、私も無意識的に

人間性自己PR

をしていたということですね。

でも、今考えれば当たり前のことですよね。

だって、いつも

「何で今期こんなにマイナスなんだ!!」

って怒られている人から見たら、

「アルバイトで来店者数を1.3倍にした」

というエピソードより、

「イベントの設備の解体のバイトで、職人に怒られまくって大変だったが、地道に仕事をしていたら職人に気に入られて、最終的に缶コーヒーをおごってもらった」

というエピソードの方が心に刺さりますよね。

「うんうん、わかるわかる…怒られるの辛いよな…こいつわかってるな…面白いやつだな…」

ってなりますよね。

ちなみに、この本の人間性自己PRの具体例はこんなことが書かれています。

『仏の〇〇(苗字)』、私はアルバイト先でこう呼ばれていました。

ビデオレンタルショップのアルバイトにおいて、どんなお客様にもできるだけ丁寧に接客をしていたため、周囲の人からこんなあだ名をつけられました。

先入観を持たずに人と接することが大事だと考えています。

具体的には、お客様がどんなことを言ってきても、いったんその話を受け入れ、その上で自分の意見を言うようにしていました。

お客様が納得してレンタルできるように心がけてきました。

このことを意識していたからか、クレームが多いお店でしたが、一度も自分宛のクレームをもらいませんでした。

相手を選ばずに人と接することができるのは自分の強みだと思っています。

社会に出ても大切にして、いろんな人と関わり合いながら仕事に取り組んでいきたいです。

武野光(2016)『凡人内定完全マニュアル』ポプラ社p.69-70

資格実績型自己PRばかり考えていても、

「大学時代に頑張ったことがないから、自己PRで書くことがない…」
「就活マニュアルサイトを見てもバイトのことを生かした自己PRばかりで参考にならない…」

と悩むだけですし、企業にもウザがられるだけです。

絶対に人間性自己PRで勝負してください。効果はマジで保証します。

       

でくのぼう


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