「自分にはアピールポイントなんてない…」
「私には誇れるものなんて何もない…」
と悩む前に考えて欲しいことは、
「あなたらしさが伝わるなら、アルバイトやサークルの話で全く問題ない」
ということです。
1.ほとんどの人はすごい経歴なんかない
まずあなたにお伝えしたいのが、
「ほとんどの人はすごい経歴なんかない」
ということです。周りを見渡すと、
- 体育会の部活で優勝経験
- TOEIC900点
- ビジコンで1位獲得
など、すごそうな経歴を持った人がいるのに、焦ってしまう気持ちも分かります。
分かるんですが、実際90%の就活生はすごい経歴なんか持っていません。みんなあなたと同じようにESを書くときに頭を悩ませています。そして、私も悩ませていました。
でも、就活を終えて一部上場企業で2年間働いてた経験のある身として言えるのは、
「ほとんどの人はすごい経歴なんかない」
ということです。実際に入社して同期と話してみて思いましたが、全員がすごい実績を持っているかと聞かれたら、答えはNOです。
ほとんどが、普通の人間です。そして、現在部長となっている人間も、
「俺は何とか拾ってもらっただけだからなぁ。笑」
とよく言っていました。
就活生からすれば、上場企業の部長はバリバリの実績を持った人間がなると思うかもしれませんが、実際はそんなにすごい人ではないです。
もちろん優秀だとは思いますが、取り立ててすごい人間ではありません。少なくとも就活をしていた段階では、これといった実績がなかった人が部長をやっているのです。
だから、あなたが今何の実績がなくても、就活をするにあたって、何も心配する必要はありません。ほとんどみんな実績なんてないんです。
2.企業が求めているのは、あなたの人柄・価値観
私が就活を通して感じたことは、
「学生の自慢話はウザがられる」
ということです。
「リクルートグループで20年以上雇用の現場を見てきた」と言う雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏は著書の中でこんなことを言っています。
面接で企業が見ているポイントは、以下のたった2つです。
・自社の仕事がきちんとできるか
・自社の仲間とうまくやれるかとすれば、あなたがやるべきことは、その判断材料を示すことです。
そのためには、あなたがどんな人かよくわかるエピソードが重要。アルバイトやサークルの話が、その材料となっているならいいのです。
そして、企業が「そういう人は、うちの仕事、うちの仲間に合っている」と判断すれば内定となります。逆に、他の学生とまったく変わらない話で、あなたの良さがわからない場合は落ちます。バイトやサークルの話って、たいていがそんな感じだからダメなんですね。
海老原嗣生(2015)『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?』東洋経済新報社 p.112-113
大切なのは、
- 自社の仕事がきちんとできるか
- 自社の仲間とうまくやれるか
を判断してもらうための判断材料を示すことであって、実績を自慢する場ではないことがポイントです。
就活生向けに書かれた本の多くには、
- PDCAを意識してESを書け
- 実績が分かるような数字を書け
と書かれていますよね。私自身、就活の初期はそういったノウハウを真に受けて、
「バイト先で売上20%UPに貢献しました」
「バイト先で〜という仮定を設定し・・・」
というようなエピソードを話していました。しかし、面接でのウケはまあ悪かったです。それは単純に、
企業の人事が求めているのは、学生の自慢話ではなく、「自社の仕事がきちんとできるか」「自社の仲間とうまくやれるか」の判断材料であり、その判断材料となるのであれば、PDCAも具体的な数字もいらないから
ということだったのでしょう。
海老原嗣生(2015)『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?』東洋経済新報社の中には、「自分らしさがわかるエピソード」として、こんなエピソードが紹介されています。
これは、ある栄養学科の女子学生が、倍率の高い給食センターに内定したときの話です。
彼女は栄養士の免許をとり、食品関連の仕事を目指していました。当然、食に興味があるため、アルバイト先も街中の飲食店です。
そこで、面接のときもその話をしたのです。ただ、給食センターともなると、同じように食に興味があり、飲食系のアルバイトをしている学生が多いのですね。だから、それ自体はまったく意味をなしません。
ところが、話の内容がすばらしかった。彼女は、お客様の笑顔が見られるように努力を惜しまない、という話をします。(中略)企業は、ほかの学生とどこが違うのか、具体的にどんな話があったのかを、再質問します。
その彼女は、こんな話をしました。
「お客さんの行動をよく見ていて、何か不満があると、それを解決できるように工夫をしていました。たとえば、そのお店は丼ものに自信があったのですが、女性やお年寄りのお客さんだと、食べきれずに残す人が多かった。そこで、メニューに『小盛』を用意するように提案したのです。それはとても人気となりました。また、サバを使った丼を出したとき、年配のお客様から、サバの塩焼きを食べると口の中が渋くなるという声をいただきました。たぶん、お茶の成分であるタンニンとサバの脂が化学変化を起こすのでしょう。そのことを店長に伝え、私が麦茶とほうじ茶を用意し、スタッフで飲み比べた結果、サバの季節の間は麦茶を取り入れることになりました」
どうですか?これなら彼女の、気配りや企画提案力がよくわかるでしょう。
海老原嗣生(2015)『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?』東洋経済新報社 p.113-115
私がこのエピソードを読んでポイントだと思った点は、
- 人柄にフォーカスしている点
- 具体的な数字が入っていない点
の2点です。
武野光(2016)『凡人内定完全マニュアル』ポプラ社p.67にも、
自己PRには2種類あると思っていてください。
1.資格実績型自己PR
2.人間性自己PR1はこれまで書いてきたように、資格や実績「自体」をアピールするものです。つまり、その人がどういう人間かはさして関係なく、残した成果だけで勝負をしようというものです。
武野光(2016)『凡人内定完全マニュアル』ポプラ社p.67
と書かれていましたが、あなたや私のような取り立てて実績のない人間がアピールしようとするときにアピールすべきは「人柄」です。
上の栄養学科の女子学生のエピソードがなぜ良かったのかといえば、
「人柄を表すエピソードだったから」
です。就活生がやりがちなのは、実績をアピールするタイプのエピソードですが、学生の自慢話はウザがられているんですね。
3.私も就活の途中から人柄を表すエピソードで勝負するようにした
私も就活を始めたばかりの時は、
「私は個別指導塾でアルバイトをしており、指導していた生徒を志望校合格に導きました」
「サークルの入会者数を前年比〇〇%アップさせました」
など、無理やり「資格実績型自己PR」をやっていました。無理やりPDCAの型に当てはめたエピソードを作り上げて、面接で話していました。
私の就活戦略として、
「最初は選考スケジュールの早いベンチャー企業で面接の練習をしよう」
と思っていたので、無理やり作った「資格実績型自己PR」を必死にアピールしていました。
しかし、結果は散々でした。まず、まともに最後まで話を聞いてもらえませんでしたね。一生懸命話しても、
「ふーん…」
「そうなんですねぇ…」
みたいな乾いた返事が返ってくるだけで、就活を始めたばかりの私でも、
「人事に全然響いてないな…」
というのが一目瞭然で分かりました。でも、その理由を今になって考えるとよく分かります。
私の話が聞かれなかった理由は、
- 人間性自己PRではなく、資格実績型自己PRをしていたから
- 「自社の仕事がきちんとできるか」「自社の仲間とうまくやれるか」の判断材料を提供しているという意識がなかったから
ですね。
当時の私はそこまで深くは考えていませんでしたが、当時の私は、
「自慢話はウケないわ。普通に挫折した話とか苦労話をした方が良いな」
と思い、上場企業の面接が始まってからは、
- イベントスタッフの機材の搬入搬出のバイトで職人から怒られまくって大変だった話
- 経営誌の長期インターンシップで雑誌の記事を書く際に、何度書いてもダメ出しをされ大変だった話
- レジのアルバイトでクレーマー客の処理が大変だった話
など、とにかく大変だった話をするようにしました。その結果、面接官は嬉しそうに私の話を聞くようになりましたね。笑
その光景を見て、
「あっ、苦労話の方がおっさんにはウケるのかw」
と思い、そこからひたすら苦労話ばかり話すようになりました。今思えば、この苦労話がいわゆる「人間性自己PR」につながっていたのでしょう。
まとめになりますが、就活のエピソードを考える上で重要なのは、
「部活動や留学などの経験がないがないから、何をアピールすれば良いのか分からない…」
と悩むことではなく、
- どうすれば平凡なエピソードで人間性自己PRをできるか
- どうすれば平凡なエピソードで「自社の仕事がきちんとできるか」「自社の仲間とうまくやれるか」の判断材料を提供できるか
を考えることです。
でくのぼう
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